相続する不動産に広大な土地(宅地)があり、相続税の現金による納付が困難なため、不動産で物納をしたい。その際の広大な土地の評価はどうなるのか?
目次
1.「広大地」とは
2.「広大地」に該当しない場合
3.財産評価基本通達における、「広大地の評価方法」
4.「広大地評価」をあえて適用しないで相続税の申告を行うと
1.「広大地」とは
広大地とは、その地域における標準的な宅地の地積に比べ著しく地積が広大な宅地で、経済的に最も合理的(最有効使用)であると認められる開発行為(都市計画法に規定する開発行為)が、「戸建て分譲用地」と判定され、かつ経済的に最も合理的に戸建て住宅の分譲を行った場合に「潰れ地」(開発道路等)が必要な土地である。広大地の判定を受けると、自用地の評価額に比べ6割程度に下がる。
※一般的には500平米以上の土地で開発には道路が必要とされる土地
2.「広大地」に該当しない場合
①間口が広く、奥行が標準的な場合や道路が二方、三方又は四方にあり、道路の開設が必要ない場合は広大地に該当しない。
②セットバックを必要とする土地ではないが、開発行為を行う場合に道路敷きを提供しなければならない土地部分について、開発区域内の道路開設に当たらない場合には、広大地に該当しない。
③路地状開発の場合、路地状敷地部分を通路に限らず駐車場としても利用できるので、公共用地とみなされず広大地の適用ができない。
※路地状開発とは、路地状部分を有する宅地を組み合わせ、戸建住宅分譲用地として開発することをいう。
3.財産評価基本通達における、「広大地の評価方法」
広大地は、次に掲げる区分に従い、それぞれ次により計算した金額により評価する。
①広大地が路線価地域に所在する場合:広大地の価額=広大地の面する路線価x広大地補正率x地積 広大地補正率=0.6-0.05x広大地の地積÷1000平米
②広大地が倍率地域に所在する場合:その広大地が標準的な間口距離及び奥行距離を有する宅地であるとした場合の1平米当たりの価額を、前述①の算式における「広大地の面する路線価」に置き換えて計算する。
4.「広大地評価」をあえて適用しないで相続税の申告を行うと
物納予定土地が広大地に該当する場合に、広大地評価をあえて適用しないで相続税の申告を行い、相続税評価額を高く評価しても、収納価額は広大地評価を受けた後の金額に修正される。
※相続税の申告についても更生処分等で相続税額は減るものの、広大地評価で収納価額が下がるため実質負担は重くなる。
広大地を含む不動産を相続される場合、土地の評価額および相続税の算出を慎重に行う必要があります。分からないことは、不動産問題解決のナビゲータ オフィスSANOまでお気軽にご相談ください。