法律上は、どうしても相続人になるのですが「この人間には、絶対にビタ一文も相続させたくない。」と思うときには、「相続人の廃除」という手続きがあります。ボリュームが大きくなってしまったので2回にわけて書いています。まずは、「用語と効果」についてです。

目次

1.相続廃除とは?
2.なぜ、遺言ではなく、相続廃除なのか?
3.廃除の対象となる相続人とは?
4.廃除の効果

1.相続廃除とは?

相続排除とは、相続人となるべき者で被相続人に対する虐待・侮辱・非行等がある場合被相続人の請求に基づいて家庭裁判所の調停や審判手続により、その者の相続権を剥奪する制度をいいます。
相続権の剥奪という点で、相続欠格と同じ効果になりますが、被相続人の意思に基づくところが相続欠格と異なります。

2.なぜ、遺言ではなく、相続廃除なのか?

相続させたくないのであれば、被相続人は遺言や財産を相続人以外の者に対して生前贈与・遺贈することによって廃除と同様の目的を達するのではと考えたくなりますが、残念ながら「相続人の遺留分」という権利までを否定することはできません。この「相続廃除」制度は、相続人の遺留分権を否定し、相続権の剥奪を認める制度です。

3.廃除の対象となる相続人とは?

廃除される者は遺留分を有する推定相続人とされており、遺留分がない兄弟姉妹は相続人が廃除の対象外となります。
兄弟姉妹に遺産を相続させたくなければ、他の者に全財産を贈与又は遺贈し、あるいは兄弟姉妹の相続分をゼロとする遺言を作成すればできます。また、適法に遺留分を放棄した相続人についても、廃除を求める必要性がないので、廃除は認められません。

4.廃除の効果

①廃除の効果は、廃除を請求した被相続人に対する関係でのみ相続人の相続権を剥奪されます。。
②廃除された者は被相続人に対する関係でのみ相続権を剥奪されるのみで、他の者との関係では相続権を否定されない。
廃除された者の子は代襲相続ができます
④廃除の効果は、家庭裁判所の審判の確定又は調停の成立によって発生します。被相続人の意思だけではできない。
法定相続人の人数について、廃除された者は人数に含まれないが、廃除された者の子が代襲相続人となる場合は、人数に含めて計算されます

まとめ

残念ながら、物騒な事件が多い昨今、今回のテーマである「相続廃除」は、一つの手段として知っておいた方がいいテーマになってしまいました。

本情報は、法律・税務・金融などの一般的な説明です。個別の具体的な判断や対策などは専門家(弁護士・税理士など)にご相談ください。

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