ある兄弟の相続でもめたお話です。弟からの相談です。2年前に父親が他界し、父の遺産である預金と不動産は遺産分割協議がまとまり相続手続きが完了しています。しかし、弟は納得していません。なぜなら、亡くなる2年前に土地を売却したお金が遺産の中に入っていないとのことでした。実は、この問題となっている土地は、当社で売却の仲介をした土地でした。当然、売買金額と税引き後の手取金額はわかっています。しかし、兄に聞いても明確な回答はありません。兄弟間では、既に話し合いも出来ない状況でした。そこで、当社にこの金額の行方の調査と分割をお手伝いすることになりました。

弟からの要望は、「全ての遺産は折半とすることに兄弟間で合意できている。当然ながら、土地売却金額相当額も折半にして欲しい。」との内容でした。さて、この土地代金は、どこにいってしまったのでしょうか?


実は、父親が生命保険に加入しており受取人は兄だったのです。生命保険への加入は、父親の意思で加入したのか?兄の勧めで加入したのか?詳細は不明ですが、詮索することは控えさせて頂きます。

ここで、生命保険の契約について補足しておきます。

生命保険の契約は、『契約者』と『保険料を払う人』との関係で、遺産分割協議が必要な場合と必要ない場合とに区別されます。そこで遺産分割協議が必要ない契約形態で、生命保険を活用すれば、特定の相続人に財産を遺すことができるのです。一般的に、次の内容で生命保険に加入すれば特定の相続人に遺産分割協議書無しで保険金を受け取ることができます

契約者 ⇒ 被相続人 ●被保険者 ⇒ 被相続人 ●受取人 ⇒ 特定の相続人 ●保険料負担者 ⇒ 契約者である被相続人


兄と数回お目にかかって、受け取った保険金額に関して折半で分割することに承諾してもらえました。

しかし、新たな問題が発生です。

遺産分割完了後の遺産分割のやり直しは、税法上贈与または譲渡とみなされます。ただ、折半すれば良いという訳にはいきません。

このケースでは、お金を受け取る弟側に贈与税の納付義務が発生してしまいます。そこで、当社の顧問税理士の協力のもと、贈与税を計算してもらい納税後の金額を折半することにしました。

 

まとめ

後日談で弟は、兄の手元に土地代があることはわかっていたようです。なぜなら、生前父親から遺産の概算について聞いていたようです。父親とすると仲良く二人の子供に折半で分けて欲しい想いから、一方の子だけでなく、平等に伝えておきたかったのでしょう。ただ、専門家の立場からすると、生前に遺言の作成をしていてくれたらと思います。
現在、兄弟間での交流は全くないとのことです。争続にならないよう生前の対策が如何に大事かというケースです。

 

オフィスSANOは、相続財産(金融資産 & 不動産)の問題はもちろんのこと、不動産問題について『知っていると得すること』・『知らないと損すること』に重点をおいて情報を発信してまいります。
どうしたらよいか分からない時は、不動産問題解決ナビゲータ オフィスSANOまでお気軽にご相談ください。