前回は、「相続人の廃除」について書きました。今回は、「廃除手続き」について取引先の行政書士にて教えてもらいました。具体的な方法は、以下のとおりです。

目次

1.「相続廃除」の手続き
2.「相続廃除」の取消し

1.「相続廃除」の手続き

廃除の方法は、被相続人が生前に家庭裁判所に申し立てる方法と、遺言による方法との二つが認められています。

(1)生前の廃除申立

被相続人は、遺留分を有する推定相続人に廃除事由があると場合は、家庭裁判所に対して廃除請求ができます。手続は審判または調停によって行われます。

■調停の場合/当事者間に廃除の合意が成立していたとしても、家庭裁判所は直ちに廃除の成立を認めず、職権で廃除事由の存在を調査し、その存在が認められないときは、合意を不相当として調停不成立となります。■審判の場合/調停不成立となった場合は、審判手続に移行させ、裁判所自らが審判によって、廃除を否定することとなります。なお、廃除請求事件の係属中に被相続人が死亡して相続が開始したときは、家庭裁判所で遺産管理人を選任し、遺産管理人が廃除手続を受継することになります。

(2)遺言による廃除

被相続人は、遺言で推定相続人の廃除の意思を表示することができます。ただし、遺言による廃除を行おうとする場合、家庭裁判所での廃除手続を実行してくれる遺言執行者が必要となります。遺言執行者は、相続が開始してその遺言が効力を生じた後、家庭裁判所に廃除の請求をしなければなりません。よって、廃除を求める遺言書には、誰を遺言執行者にするのかも定めておく必要があります。被相続人が遺言執行者を定めていない場合は、家庭裁判所で遺言執行者を選任することになります。

2.「相続廃除」の取消し

被相続人は、何時でも、廃除の取消を家庭裁判所に請求することができます遺言でも廃除の取消を請求することが可能です。ただし、遺言による場合には、遺言執行者が 家庭裁判所に廃除取消の請求をしなければならなりません。廃除の取消がなされると、廃除の効果は相続開始時にさかのぼって消滅し、相続権が回復することになります。

まとめ

相続権の剥奪という点では、「相続欠格」と同じですが、「相続廃除」は被相続人の意思に基づくところが相続欠格と異なります。感情的な要因で「申請」も「取消し」もできる制度で有り、法律とういう融通が付かない中で「人情味」を感じてしまったのは、私だけでしょうか?

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【廃除の手続】

【廃除の取消し】