競売物件情報の査定書をみると、以下のような「法定地上権」たる聞き慣れない言葉が出てきます。いったい、どういう権利なのでしょうか?幾つか事例を取り上げていますので、ご参考にしてみて下さい。
目次
1.法定地上権とは?
2.法定地上権の成立要件は?
3.「法定地上権が成立する。」事例とは?
4.「法定地上権が成立しない。」事例とは?
1.法定地上権とは?
同じ人の土地と建物が競売によって別々のものになり、敷地利用権のない建物を撤去せざるを得なくなることを避けるために法律上当然に成立する地上権のことをいいます。
2.法定地上権の成立要件は?
以下の3つの要件になります。
①抵当権設定当時、土地上に土地所有者の建物があること。
②土地建物の一方または双方に抵当権が設定されていること。
③抵当権の実行によって、土地・建物の所有者が別人になること。
3.「法定地上権が成立する。」事例とは?
1)途中で土地と建物の所有者が変わった場合
抵当権設定時に所有者が同一であれば、その後に所有者が変わってもよいことになっています。
2)建物が土地所有者と第三者が共有している場合
法定地上権は、第三者の利益になるという事で法定地上権は成立します。
4.「法定地上権が成立しない。」事例とは?
1)更地に抵当権が設定された場合
前述したとおり、抵当権設定時に建物が存在することが絶対条件です。
2)土地が夫の名義で、建物が妻の名義の場合
土地と建物の所有者が異なるため、法定地上権は成立しません。因みに、同居・別居の事実は関係ありません。
3)建物が土地所有者と第三者の共有の場合
法定地上権が、第三者に負担を強いることにもなるため成立しません。
民法第388条では、抵当権の実行(いわゆる任意競売)により、土地と建物が別々の所有者に帰属することとなった際に、建物のために法定地上権が発生すると規定する。また民事執行法第81条では、競売(いわゆる強制競売)の際にも、建物のために法定地上権が発生すると規定する。また、租税徴収法では租税滞納による物件売却(いわゆる公売)の際にも、建物のために法定地上権が発生すると規定している。
このように、各法律で法定地上権を規定している理由は、競売等により土地と建物が別々の所有者に帰属することとなった際には、建物が敷地を利用する権利がいったん消滅することとなり、建物を土地から撤去しなければならないという不都合が生じるので、そうした不都合を回避するために、建物に地上権(法定地上権)を付与するという趣旨である。
[アットホーム不動産用語サイトより]
まとめ
補足で、2番抵当権設定時に要件を満たした場合は、土地に関する抵当権には法定地上権は成立しませんが、建物に関する抵当権については成立します。ただし、1番抵当権が競売前に消滅していた場合には、土地にも法定地上権が成立します。
本情報は、法律・税務・金融などの一般的な説明です。個別の具体的な判断や対策などは専門家(弁護士・税理士など)にご相談ください。
オフィスSANOは、相続財産(金融資産 & 不動産)の問題はもちろんのこと、不動産問題について『知っていると得すること』・『知らないと損すること』に重点をおいて情報を発信してまいります。
どうしたらよいか分からない時は、不動産問題解決ナビゲータ オフィスSANOまでお気軽にご相談ください。