東京の虎ノ門に、東京メトロ(地下鉄)の新駅ができるニュースや静岡県ではリニア中央新幹線のトンネル工事のための準備工事着手のニュースがありました。
ふと「自宅敷地の地下に地下鉄のトンネルが掘られたら…?権利関係はどうなるんだろう?」と思いながら、ブログを書いてみました。

目次

1.土地に対する権利のなかで重要な権利とは?
2.地上権とは?
3.土地賃借権とは?
4.土地賃借権と地上権の違いとは?

1.土地に対する権利のなかで重要な権利とは?

土地に対する権利の中で重要な権利は、所有権借地権です。

1)所有権

所有者が自由にその所有物を使用・収益・譲渡できる権利

2)借地権

借地権とは次の2つの権利のどちらかのことです。(借地借家法第2条)。
1.建物を所有する目的で設定された地上権
2.建物を所有する目的で設定された土地賃借権

[補足]
■資材置場にする目的で設定された土地賃借権は、建物を所有する目的でないため「借地権」ではありません。
■上記同様に、青空駐車場とする目的で設定された土地賃借権も「借地権」ではありません。

2.地上権とは?

地上権とは、工作物又は竹木を所有するために他人の土地を使用する権利をいいます。
いったん成立すると、地上権者は、あたかも所有者が利用できるのと同様に、その土地を利用できます。

地上権の特徴は、以下のとおりです。

①第三者にその土地を貸すことができ、地上権そのものを、所有権者が所有権を譲渡するのと同じように、地主の承諾や承諾料支払いなく自由に譲渡出来、抵当権設定(=担保になる)もできる。
②地代の支払や地上権設定時の権利金・契約更新料等が、契約次第で発生する場合がある。それ以外は殆ど所有権と同様に非常に強い権利で、登記されている事例もごく僅かである。
③建物の所有を目的とする以外に、その他の工作物を所有する目的でも使用される。
例:電力会社が鉄塔や高圧線の為に設置したもの、地下鉄の線路の為のもの (※区分地上権区分地上権に準ずる地役権といいます。

[補足]※どちらも土地の上下のすべてについて効力が及ぶ地上権とは別のものとして評価されます。
地上権:地下にトンネルを所有するなど土地の上下の一定層のみを目的として設定された地上権をいう。
■区分地上権に準ずる地役権:特別高圧架空電線の架設等を目的として地下又は空間について上下の範囲を定めて設定されたもので、建造物の設置を制限するものをいう。

3.土地賃借権とは?

賃貸借契約に基づき、賃借人が目的物を使用収益できる権利で、賃借権を譲渡したり転貸するには地主の承諾が必要になる。

※一般的に借地権は、実際は賃借権の場合が多く、これは債権で、賃借人が賃借権を登記する場合は、地主の協力が不可欠だが、地主にはその登記に協力する義務はないので、賃借権が登記されているものは稀である。

4.土地賃借権と地上権の違いとは?

土地賃借権は債権だが、地上権は物権である
地上権は、土地所有者の承諾がなくても他人に譲渡することができる。
地上権を設定した土地所有者には登記義務があるので、地上権は土地登記簿に登記されているのが一般的である。

まとめ

今回は少し視点を変えて「不動産からみた地下のお話」でした。今後も、何気ない事で疑問に感じたテーマが出たら書いていこうと思います。

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