先日、親の相続により取得した土地を売却の弊社で仲介をさせて頂くことになった専業主婦の奥様から、以下のような相談がありました。
「現在、私は主人の扶養になっているけど、土地を売却した場合には扶養から外れるのか?また、健康保険料など上がってしまうのか?」との内容です。

目次

1.健康保険の加入先によって対応は変わる?
2.所得控除額38万円の対象となる配偶者の年収の上限が103万円から150万円になりました!

1.健康保険の加入先によって対応は変わる?

主な健康保険の組合として下図の加入先があります。組合によって見解が違いますので、実際には、各組合へ直接確認して頂くことをお勧め致します。

主な組合名加入者
全国健康保険協会;通称「協会けんぽ」 中小企業の従業員とその家族
組合管掌健康保険;通称「組合健保」 大企業の従業員とその家族
共済組合 公務員や私立の学校教職員
船員保険 船員
国民健康保険;通称「国保」 自営業者や無職の人とその家族

今回の相談された方のご主人は、全国健康保険協会「協会けんぽ」に加入されています。殆どのサラリーマンの方が、「協会けんぽ」に加入されています。このケースで書いています。

全国健康保険協会に直接確認しましたところ、次の回答が得られました。

一般的に加入者(ご主人)の年収によって保険料が決まるので、奥様が不動産の売却で収入が生じても保険料は変わらない。」とのことでした。年金に関しても同じのようです。

2.所得控除額38万円の対象となる配偶者の年収の上限が103万円から150万円になりました!

 平成30年分(住民税は、平成31年度分)から「配偶者控除・配偶者特別控除」が改正されました。

「配偶者控除」の対象となる妻の年収はこれまでと変わりません。「配偶者特別控除」が拡大されました。
具体的には、平成29(2017)年までは、『配偶者特別控除』を受けるためには、妻の年収に上限が定められており、妻の収入が141万円(年間所得76万円)未満の世帯しか控除が受けられませんでした。
しかし、平成30(2018)年の改正で上限額は201万円(年間所得123万円)以下まで大幅にアップ
されました。つまり、今まで控除を受けられなかった141万~201万円の収入がある妻の世帯も控除を受けられます。
さらに、妻の年収が103万円超150万円以下なら夫は配偶者特別控除として38万円の所得控除が受けられます。※夫が年収1,120万円以下(妻との合計所得金額900万円以下)の場合。

まとめ

今回のように専業主婦で親の相続により取得した不動産を売却するケースは増えています。
ここで、売却後の世帯の所得という点から考えますと、実際はご主人の会社の給与形態によっても変わると思います。例えば、『配偶者手当』や『家族手当』が支給されている場合、ほとんどのケースで奥様の年間所得額に関して勤務先の規定があります。つまり、配偶者が不動産を売却して所得が上がったことによって手当が、申告した時だけ支給されなくなってしまうことはあり得ます。

ただし、考え方ですが、「不動産を所有していることで、固定資産税の負担・草取りなど。」経費が毎年かかります売却することによって、この経費負担が無くなるわけですから…。将来のことを見据えて検討する必要があります。

本情報は、法律・税務・金融などの一般的な説明です。個別の具体的な判断や対策などは専門家(弁護士・税理士など)にご相談ください。

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