中小企業の事業承継税制を適用するためには、「資産保有会社」と「資産運用会社」に該当しないことなっています。国税庁のHPをみても分かりづらいので、「資産保有会社」について要点をまとめてみました。

 


1.資産保有会社

【資産保有型会社の基準】

(1)資産保有型会社に該当すると非上場株式等の納税猶予制度の適用を受けることができない
資産の価額の総額に占める特定資産の価額の合計額の割合が70%以上である会社を「資産保有型会社」という。ここでいう「特定資産」は、次の①から⑤までの合計をいう。
① 国債証券、地方債証券、株券その他の金融商品取引法第2条第1項に規定する有価証券と他の持分会社の持分
ただし、その中小企業者の特別子会社の株式又は持分は、その特別子会社が「資産保有型子会社」又は「資産運用型子会社」に該当しない場合に限って、有価証券及び持分から除かれる。
② その中小企業者が所有している不動産のうち、現に自ら使用していないもの
中小企業者自身が自らの事務所や工場・店舗として使用している不動産以外のすべてのものが該当する。遊休地が典型的な例だが、第三者に賃貸している不動産もこれに該当する。従業員社宅は「自己使用」とされるが、役員社宅は第三者賃貸に含まれるので注意する必要がある。結果的に不動産賃貸業を主たる事業とする会社は、原則として資産保有型会社となり、資産保有型会社からの除外規定に該当しない限り、納税猶予の適用対象外となることが多いと思われる。
③ ゴルフ会員権、スポーツクラブ会員権、リゾート会員権など施設の利用に関する権利 ただし、ゴルフ会員権等の販売業者が販売目的で所有しているものなど、事業の用に供することを目的として有するものは除外される。
④ 絵画、彫刻、工芸品、陶磁器、骨董品などの動産、金、銀、などの貴金属、ダイヤモンドなどの宝石 ただし、これらの資産の販売業者(画廊、骨董品店、宝石店等)が販売目的で所有しているものなど、事業の用に供することを目的として有するものは除外される。
現預金等  ※中小企業の代表者及びその同族関係者に対する貸付金や未収金の額も現預金として加算する。

(2)一日でも資産保有型会社に該当すると認定されない
中小企業者であるその会社の代表者の被相続人の相続開始の日又は贈与の日の属する事業年度の直前事業年度の開始の日以後において、一日でも資産保有型会社に該当すると認定を受けることができない。たとえ一日でも該当するだけで認定を受けることができないので留意すること。

特定資産=判定時における上記①〜⑤の合計額/判定時における資産価額総額≧70%  ※特別子会社の特別子会社株式又は持分を除く

(3)租税回避行為の防止措置
資産保有型会社の判定において、過去5年間の経営承継相続人及びその同族関係者に対して支払われた剰余金の配当等と過大役員給与等に相当する金額を分母・分子である特定資産及び総資産の額に加算して判定することとされている。ただし、贈与の日前の期間や相続開始の日前の期間については加算しないでよいこととされており、また、認定時の判定においてはこの加算をしないで判定することとされている。

(4)認定は帳簿価額・税務判定は税務上の価額
分母及び分子の価額は経済産業大臣の認定においては帳簿価額によるが、税務上の適用に当たっては税務上の価額で判定することとされているので留意すること。

[国税庁HP・中小企業庁「経営者のための事業承継マニュアル」 参照]

まとめ

後継者がおらず、本業も芳しくないので廃業して、保有している不動産などの資産を保有又は運用する資産管理会社がきました。平成30年度の税制改正で事業承継税制の抜本拡充が実現されたので税理士を交えて中長期的な事業承継計画を策定していくことが大事ではないでしょうか!

参考に今回の改正点は、下記のとおりです。ご参考になれば幸いです。

〈現行〉猶予割合53%(対象株式数上限2/3×猶予割合80%)で残りの47%は納税が必要でした。⇒ 〈改正〉対象株式数上限2/3・猶予割合80%から100%に引き上げ。
 自社株承継時の納税負担がゼロになります。

 

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