買主が中古住宅をローンで購入する場合に必要書類として建築確認・検査済証が必要書類となっています。書類が無かったことによってローンが組めなかったケースもあります。そうなった場合に、あきらめる前にやらなければならないことがあります。

目次

1.建築確認・検査済証・完了検査 とは?
2.売主(現所有者)が書類を紛失・もともと無い場合とは?
3.銀行が検査済みを必要になるわけとは?
4.台帳記載事項証明書/まずは、内容確認!
5.建築基準法適合状況調査報告書/存在しなかったら調査!

1.建築確認・検査済証・完了検査 とは?

建築物等が、建築確認や完了検査などの建築基準法で定める手続きに従って適法に設けられたものであるかどうかについては、建築主(申請者)が交付を受けた確認済証や検査済証により確認することができます。

1)建築確認申請

建築確認とは、建築物の計画が、建築基準法やその他の関係法令の基準に適合しているかを着工前に行政機関に申請して審査(事前に確認)してもらう手続きのことをいいます。

2)検査済証

検査済みとは、建築確認申請内容のとおり「建築物及びその敷地が建築基準関連規定に適合している」ことを証する書面のことをいいます。

3)完了検査

完了検査とは、建物の建築工事が完了した時に、用途地域を除く、「その建物の構造や設備、敷地などが関連する法令に適合しているかどうか。」の検査を受けることをいいます。完了検査の申請は、原則として工事完了日から4日以内に行い、完了検査の結果、適法と認めれば「検査済証」が交付されます。なお、検査済証が交付されるまで、その建物は利用することはできません。

2.売主(現所有者)が書類を紛失・もともと無い場合とは?

① 相続により取得した建物で書類自体がなかった。
② 競売や中古で購入したため、もともと書類自体がなかった。
③ 当初に建築確認だけとって違法な増築を行ったため、完了検査を受けていない。

3.銀行が検査済みを必要になるわけとは?

検査済証がないという事は、住宅瑕疵担保履行法を脱法する建物である可能性があり、また、平成15年に国土交通省から各金融機関に対して「完了検査に基づく検査済証のない建築物への住宅ローン融資を控えるように。」といった要請がされたため、中古住宅の場合には金融機関が建築確認済の適法な建物であることをローン実行の要件しているためです。

4.台帳記載事項証明書/まずは、内容確認!

建築物等が、建築確認や完了検査などの建築基準法で定める手続きに従って適法に設けられたものであるかどうかについては、建築主(申請者)が交付を受けた確認済証や検査済証により確認することができます。しかし、竣工後、確認済証や検査済証の紛失等により、その確認ができない場合などがあります。そこで、各都道府県の建築物の敷地を所管する担当部署では、保有する台帳に記載されている事項を「台帳記載事項証明
書[(例)静岡県]」として交付するサービスを行っています。

※1:確認済証や検査済証を再発行するものではありません。※2: 台帳が現存していない等により証明書が発行できない場合があります。

5.建築基準法適合状況調査報告書/存在しなかったら調査!

建築確認を取得しながら検査済証の交付を受けていない既存建築物等(工作物、建築設備を含む。)を建築時の建築基準法にさかのぼり図上調査(書類調査)と現場調査により法適合の状況を調査して、その結果を依頼者に報告する制度があります。(「検査済証のない建築物に係る指定建築確認検査機関を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン」に基づく調査)
この調査報告書名は、「建築基準法適合状況調査報告書」といいます。

■既存不適格建築物

既存不適格建築物とは、それが建てられた時点又は増改築工事がされた時点で適法だったものの、その後の法改正などによって現行の法令には適合していない状態のものをいいます。(「既存不適格建築物に係る
是正命令制度に関するガイドライン」)

■違反建築物

当初から関係法規に適合せずに建築・増改築又は用途変更などがされたものをいいます。

まとめ

明らかに「違法建築物」となっている物件は論外として、自身が本当に気に入った物件と巡り会う確率は、そう高くはありません。そんな状況の中で書類がないことによって諦めてしまうのは残念です。

証明書申請代・調査報告書作成費用は、確かに有償にはなりますが、決して高額ではありません。「諦める前に、先ずは行動してみる!」事が大事ではないでしょうか?

 

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