ある一団の土地(2,000㎡以上)を購入した方から、こんな相談がありました。「購入した敷地内に市有地(地目:用悪水路)が10㎡程度あり、許認可の都合上、この市有地を払い下げで購入して欲しい。」との打診が市役所からあったとの事です。相談者は、その土地が利用価値が全くないので、対応方法について悩んでいました。
相談者の方は、以下の事で悩んでいらっしゃいました。
●そもそも公共地財産って…?
●払い下げとは…?
●必要のない土地でも購入しなければならないのか?
●購入しようしたらどの位の金額になるのか? 等々
目次
1.公共財産の払い下げとは?
2.公共財産が存在するケースとは?
3.手続きの流れは?
4.用途廃止が出来ないケースとは?
5.売却価格の決定方法とは?
6.購入する場合の注意点
1.公共財産の払い下げとは?
公共財産の払下げとは、公共用財産”法定外道路(赤道・里道)や水路”の中で現状道路や水路としての用途目的を失っており、将来にわたっても公共用に供する必要がない場合に、道路等の用途を廃止して財産を有償で譲渡することをいいます。なお、払下げの手続きは、現地の状況や購入する理由など個別の事情によるため誰でも払い下げを受けることはできません。
※1 用途廃止とは、道路や水路としての利用目的をなくすことをいいます。
※2 平成12年の国有財産特別措置法の改正により、国から譲与を受けた公共用財産で「市が管理している土地(官地)」であり、用途廃止可能であると判断される場合に限られます。
※3 道認定が廃止された場合でも認定廃止告示後に道路法に基づく管理期間の2ヶ月がありますので、その期間を経過した後でなければ、用途廃止の手続きを行うことはできません。
2.公共財産が存在するケースとは?
① 自宅を新築しようとしたところ、市で管理する官地が敷地内にあるケース
② 道路や水路が付け替えられて、自分の管理する土地の中に官地が残されているケース
③ 田んぼの中に市が所有する官地(水路敷など)があり、現在機能を有していないケース など
3.手続きの流れは?
公共財産である道路や水路を購入する手続きの流れは次のとおりです。
■用途廃止申請(事前協議)⇒ ■用途廃止申請 ⇒ ■財産譲受申込 ⇒ ■所有権移転登記手続き
※手続きを代行できる資格者は、行政書士になります。
4.用途廃止が出来ないケースとは?
① 用途廃止によりその官地の隣接地等が無道路地になってしまうケース
② 現在機能を有している水路や道路で、他に代替できる水路や道路が存在しないケース
③ 公共性を失っていない道路や水路の機能を低下させるケース
④ 利害関係人から同意が得られないケース
⑤ 付け替え工事で設置した道路や水路の寄附が完了していないケース
⑥ 申請者となる資格を持たないケース(※行政書士の資格要)
5.売却価格の決定方法とは?
今回、相談者が購入した土地の市役所担当課に確認したところ次の回答がありました。
「売却価格の決定にあっては、鑑定評価、固定資産評価額、取得価格、減価償却額など個々の財産の形態や条件と併せ、近傍類似の時価を考慮し総合的に検討した上で、所管する所属において、所定の決裁を受けたうえで適正な価格を決定します。原則、申請しないと正式な価格は回答できない。」との事でした。
まとめ
払い下げを受ける場合の注意しなければならないことがあります。
上図のように官地の場合は、地番が付いていない場合があります。この場合は、購入する側の負担で測量しなければなりません。さらに、不動産を登記する際には、登録免許税が必要になります。また、不動産取得税がかかる場合があります。行政書士に依頼すれば、その費用もかかってきます。
最後に、今回相談した方は、払い下げ要望地が既存の水路と繋がっていたため、購入する話は任意で良いとの結論になりました。当然に「購入しない。」との結論に至りました。
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