前回のブログで書いたように、不動産の場合、相続税評価額が実勢価格(時価)より、かなり低い評価になります。現金など所有している資産のほとんどが金融資産の場合には、「金融資産から不動産への資産の組み替え」を行った方がよいと言われています。ゆえに、現預金の相続対策として不動産の購入を勧められるわけです。

目次

1.居住用不動産のメリット(時価>相続税評価額の場合)
2.賃貸用不動産のメリット(時価>相続税評価額の場合)
3.あえて、時価より高い相続税評価額で購入するケース

1.居住用不動産のメリット(時価>相続税評価額の場合)

ⅰ.敷地について、330㎡まで80%の評価減ができる「小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)」を適用できます。
ⅱ.建物の相続税評価額は、建築費の約40%程度になるので、資産の圧縮効果があります。

2.賃貸用不動産のメリット(時価>相続税評価額の場合)

ⅰ.敷地については貸家建付け地の評価になるため評価減となります。
ⅱ.敷地について、200㎡まで50%の評価減ができる「小規模宅地等の特例(貸付事業用宅地等)」を適用できます。
ⅲ.建物建物も時価よりかなり低い評価になることが予想されますので、大きな資産圧縮効果が期待できます。

[「国税庁HP/タックスアンサー」 参考]

3.物納要件を満たしている土地(時価<相続税評価額の場合)

上記では、「時価と相続税評価額の乖離」の方法として時価>相続税評価額のケースで記してきました。
今回は、所有資産の大半が不動産の場合、物納要件を満たす土地を相続税評価額より高い時価で購入(時価<相続税評価額)しても相続税は高くなりますが、その土地を物納することで実質的な税負担の軽減ができる場合があります。

まとめ

戦略(=目的達成に為のプラン)と戦術(=戦略を実行するための方法)という言葉があります。今回のテーマで言うと「理論的に評価を下げるには・・・?」という戦術の話です。これでは、目的が確定していなければ実務上問題解決は出来ないでしょう。例えば、賃貸用不動産で言えば評価を下げる事だけを重点に実行すれば、①将来的に時価の値下がり ②将来的に入居率の低下 などが生じてしまえば事業として大失敗してしまうことになるでしょう!

相続だけではなく不動産に関する問題は、税金・法律・市場動向など色々な分野が関わってきますので大変分かりづらくなっています。一番にやらなければならない事は、戦略(=依頼者自身の念い)と戦術(=念いを実現するための方法)と分けることです。そして、一番やってはいけないことは、「よくわからないから、業者さんに任せた。」と他力本願にしてしまうことではないでしょうか?

本情報は、法律・税務・金融などの一般的な説明です。個別の具体的な判断や対策などは専門家(弁護士・税理士など)にご相談ください。

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