マイホームを売却する場合に、「築年数が古い建物があるより、解体して土地で売却す方が高く売れる。」と業者の言われるがままに建物を解体して売却をかけている方がいます。

「空家対策等の推進に関する特別措置法(2016年5月26日 全面施行)」に該当するのであれば行政機関の指導に委ねるしかありませんが、そうでなければ、マイホームを売却する際の「建物を解体する時期」は考えるべきです。理由は、建物固定資産税(都市計画税の課税物件は含む)と売却したときの税金(譲渡所得税)です。
今後マイホームを売却しようと考えている方、特に、①築年数が古い ②解体した方が高く売れるのでは?と思っている方、是非参考にしてください。

目次

1.固定資産税とは?
2.マイホームの土地(住宅用地)の固定資産税の特例措置とは?
3.年の途中でマイホームを取り壊した場合の土地と建物の固定資産税額は?
4.住宅用地の特例措置を受けることができる条件とは?
5.マイホームを取り壊した後に敷地を売ったときの税金は?

1.固定資産税とは?

固定資産税は、市町村などの地方自治体が賦課する税金で、1月1日現在の土地や家屋などの固定資産の所有者に人に納税の義務があります。マンションやアパートを賃貸している場合は、固定資産税の対象になりません。家主が固定資産税を納税することになります。

2.マイホームの土地(住宅用地)の固定資産税の軽減措置とは?

基本的に固定資産税の計算方法は、固定資産税の評価額に標準税率の1.4%をかけた金額になります。
なお、住宅やアパート等の敷地として利用されている土地(住宅用地)については、特例措置があり税金が軽減されます。

■ 住宅用地の特例措置の内容       ※価格とは、「固定資産評価基準」を指します。

※1:土地の価格は、適正な時価を求めるために総務大臣が定めた「固定資産評価基準」により算定します。宅地については状況の類似する地区内から標準的な宅地を選定し、国土交通省が定める地価公示価格あるいは鑑定価格などを活用して適正な時価を算定します。これをもとに、各街路並びに状況類似地区内の各土地を評価して、価格を決定します。なお、土地の価格は変動することもあるので、3年に1度、評価額は見直されることになります。
※2:併用住宅(家屋の一部が住宅のほか、店舗等に利用されている家屋)の場合は、建物の構造、階数、住宅として利用している部分の割合によって、住宅用地となる面積が異なります。

3.年の途中でマイホームを取り壊した場合の土地と建物の固定資産税額は?

既に記述したとおり、固定資産税は1月1日現在の土地と建物の所有者に対して課税されます。よって、1月2日以降に年の途中で家屋を取り壊したり、売却された場合でも固定資産税額が減額されたり、納税義務者が変更になることはありません。つまり、昨年の年末までにマイホーム(家屋)が既に取り壊されている場合には、マイホーム(家屋)が無いのですから建物の固定資産税は当然に課税されません。しかし、土地については住宅用地として特例措置を受けることが出来ず、税額が高くなります。具体例ですと、1月1日において新たに住宅の建設が予定されている土地や住宅が建設されつつある土地は、住宅の敷地とはされません。

4.住宅用地の特例措置を受けることができる条件とは?

住宅の建替えのために、家屋が建築中である土地については、一定の要件を満たすものと認められる場合、住宅用地として特例措置を受けることができます

● 建替前の住宅の敷地と同じ敷地であること。
中古住宅として購入した者が、家屋を取り壊して建替えする場合
● 住宅を取り壊した年の1月1日の所有者が建替後の翌年の1月1日まで継続して土地を所有していること。(相続があった場合は例外)
● 取り壊した住宅の所有者が、1月1日(賦課期日)現在、新築住宅の建設に着手しており、同年中に完成する見込みがあること。

5.マイホームを取り壊した後に敷地を売ったときの税金は?

マイホーム(居住用財産)を売ったときは、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例があります。 これを、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例といいます。
この特例は原則として家屋の所有者がマイホームを譲渡した場合に受けられるものです。ただし、家屋を取り壊してその敷地だけを売った場合には、原則としてこの特例は受けられません。
しかし、家屋を取り壊して、その敷地だけを売った場合でも次の要件すべてに当てはまるときは、この特例を受けることができます

(1) 家屋を取り壊した日から1年以内にその敷地を売る契約をしていること
(2) その家屋に住まなくなった日から3年目の年の12月31日までに譲渡すること。
(3) その家屋を取り壊してから、その敷地を売る契約をした日まで、貸付けその他の用に使用していないこと。
ただし、家屋の一部を取り壊してその敷地の一部を売ったときに、残った家屋が居住できる状態になっている場合にはこの特例は受けられません

[「国税庁HP/タックスアンサー」 参考]

まとめ

以上のことを整理すると、築年数の古いマイホームを取り壊して売却するベストな時期は?

  • 税金のことを考えると、建物を取り壊して売却するなら2月位に取り壊し工事が完了する予定で売却スケジュールを立てた方がよい。買主も来年4月の新入学の時期には十分に間に合います。
  • 既存の土地と建物固定資産税合計額と建物を取り壊した後の税額が高い土地固定資産税額と比較してスケジュールを立てる。たまに旧家の立派な建物で築年数が40年から50年経過していても高い建物固定資産税を負担されているケースがあるので。

 

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