相続が発生すると、被相続人名義の金融機関の預貯金は、直ぐに凍結されます。被相続人が残された家族に迷惑をかけたくないからと自身の葬儀費用は、自分で貯めている方は多いのですが・・・。また、親の介護は人任せしていたのに、遺産を分割する時だけ一番熱心になる兄弟姉妹。親とすれば介護をしてくれた子供に他の相続人と比べて感謝の気持ち分だけ財産を残してあげたいと考えています。
今回は、生命保険に関してまとめてみました。

目次

1.遺産分割協議なしに受取れる生命保険
2.遺産分割協議が必要ない契約形態
3.遺産分割協議が必要となる契約形態
4.その他ほかに生命保険の活用方法

1.遺産分割協議なしに受取れる生命保険

生命保険の契約は、『契約者』と『保険料負担者』との関係で、遺産分割協議が必要な場合と必要ない場合とに区別されます。
そこで遺産分割協議が必要ない契約形態で、生命保険を活用すれば特定の相続人に財産を遺すことができます。またこの場合、生命保険は、銀行預金のように遺産分割協議が整うまで凍結されるようなことはありません。
※このように、遺産分割協議を必要としないで受取人固有の財産として取得することが可能な財産を『みなし相続財産』といい、遺産分割協議を必要とする財産とは区別して扱うことになっています。

2.遺産分割協議が必要ない契約形態

下記のとおり、通常は被相続人が保険料を負担し、同時に契約者、被保険者となる(ケース①)。ただし、年齢や健康状態によっては被相続人が被保険者になれない場合があります。

【ケース ①】※死亡保険金が『みなし相続財産』となるケース
契約者 ⇒ 被相続人
■被保険者 ⇒ 被相続人
■受取人 ⇒ 特定の相続人
■保険料負担者 ⇒ 契約者である被相続人

年齢や健康状態によって被相続人が保険に加入できない場合には、保険料負担のみ被相続人が行う(ケース②)

【ケース ②】※保険契約を解約した場合に受取れる金額(解約返戻金額)が『みなし相続財産』となるケース
■契約者 ⇒ 特定の相続人
■被保険者 ⇒ 特定の相続人やその子、配偶者など
■受取人 ⇒ 被相続人(被相続人がなくなった後も継続する場合は、被保険者の相続人となる者等に変更する)
■保険料負担者 ⇒ 受取人である被相続人

※受取人を被相続人としておくのは、万一被相続人よりも先に被保険者が死亡した場合、被保険者の相続人等にしておくと保険金が贈与税の対象となってしまいます。そこで、その保険金を被相続人の一時所得することで、財産の現状復帰と再度の対策実行を実現可能にすることができます。

3..遺産分割協議が必要となる契約形態

保険契約を解約した場合に受取れる金額(解約返戻金額)が本来の『相続財産』といて遺産分割協議が必要となるケース
■契約者 ⇒ 被相続人
■被保険者 ⇒ 特定の相続人やその子、配偶者など
■受取人 ⇒ 被相続人もしくは被保険者の相続人
■保険料負担者 ⇒ 被相続人

※このような契約形態は、親が子供に保険をかける場合などは、ごく普通に行われていると思われます。その場合には、子が成人したり結婚すると、契約者を変更して、保険料負担を子が引き継ぐなどして契約形態が変わる場合が多いと考えられます。しかし、目的が財産を特定の相続人に遺すためとなった場合でも、このようなケ形態にしてしまっているケースが多くみられるので、契約内容の確認が必要です。

4.その他、生命保険の活用方法

他にも相続税対策として生命保険が活用される代表的なケースをあげました。

  • 会社&個人の借金の清算
  • 納税資金
  • 遺産分割時の代償分割資金
  • 遺留分侵害対策
    等など

まとめ

平成27年に相続放棄をした件数は、約23万人。平成元年の約4万人からすると6倍というデータがあります。※国税庁ホームページより
しかし、「生命保険金」は、上記の通り相続財産ではなく受取人固有の財産のため相続放棄をしても保険金を受け取ることができます。マイナス資産(=借金)があるから単純に放棄するだけのではなく、生前に生命保険などを活用して対策すれば相続人のために少しでも残せる方法があります。ありきたりの言葉ですが、「早めの計画的対策」が肝心です。

 

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