前回のブログでは、「境界の明示」義務について書きましたが、破産管財人による任意売却で不動産を購入しようとする場合には、幾つか注意しなければならない点がまだまだあります。今回は、「裁判所の許可&債権者の同意」についてです。

これは、買主が住宅ローン等の融資を利用して不動産を購入する場合、所謂「ローン特約(融資の借入が不可能な場合は、白紙解約)」を売買契約書において「停止条件付条項」をつけます。これと同様に、破産管財人による任意売却不動産の場合は、「裁判所の許可&債権者の同意(許可並びに同意が得られない場合は、白紙解約)」を「停止条件付条項」としてつけることになります。

実際の取引で破産管財人弁護士が作成した契約書の条文を参考資料として入れてあります。購入する前の事前情報として役立てて頂ければと幸いです。

目次

1.破産管財人による任意売却における「裁判所の許可」とは?
2.破産管財人による任意売却における「債権者の同意」とは?

1.破産管財人による任意売却における「裁判所の許可」とは?

破産財団に属する不動産の所有権移転登記を行うためには、法務局に対して裁判所の所有権移転許可が必要となります。破産管財人は、破産財団に属する不動産を売却する場合は、売却価格に関わらず裁判所の許可が得なければ手続きが出来ません。そのために、「裁判所の許可」を停止条件として規定されます。

2.破産管財人による任意売却における「債権者の同意」とは?

任意売却の場合、契約と決済を同時に行う「一括決済」で行うケースが多いです。しかし、契約と決済を別々に行う場合、契約前は債権者(担保権者)が抵当権抹消(担保解除)に応じる意向を示していても、契約締結後になって態度を翻して、担保解除に応じられないケースも可能性としてなくはないです。そのため、事前に売買契約を締結する場合には、売買契約書において購入する不動産に設定されている抵当権等の抹消に「債権者(担保権者)が同意する」ことを停止条件として規定されます。

[参考]

下記の条文は、破産管財人による土地建物を任意売却した時の売買契約書の条文です。※売主:甲・買主:乙 という。

第○条 (裁判所の許可等)

本契約は、○○地方裁判所平成○年(ケ)第○○号破産事件における破産裁判所が本件土地建物の売却を許可し、また、本件土地建物の抵当権者が本件土地建物に設定された抵当権の抹消に同意することを停止条件として効力を生じるものとする。

まとめ

任意売却の場合、破産管財人弁護士による「裁判所の許可」は、比較的スムーズに下りると存じます。問題は、担保権者による「担保解除の同意」です。複数の金融機関などに担保設定されているケースは、時間を要するケースが多いのではないでしょうか?また、案件によっては、買主のローン特約を付けることが出来ないケースもあります。

何事も、事前に情報収集して内容を確認して取り組むことが重要です。

本情報は、法律・税務・金融などの一般的な説明です。個別の具体的な判断や対策などは専門家(弁護士・税理士など)にご相談ください。

オフィスSANOは、相続財産(金融資産 & 不動産)の問題はもちろんのこと、不動産問題について『知っていると得すること』・『知らないと損すること』に重点をおいて情報を発信してまいります。
どうしたらよいか分からない時は、不動産問題解決ナビゲータ オフィスSANOまでお気軽にご相談ください。