先日、仲介で中古マンションの売買手続きの際に、「敷地権」・「敷地権割合」について質問されました。また、売買契約書のタイトルが、「マンション売買契約書」ではなく、「区分所有建物売買契約書」となっています。以下のとおり、回答していきます。

目次

1.「区分所有建物」とは?
2.「敷地権」について
3.「敷地権登記」がある区分所有建物の場合
4.「敷地権登記」がない区分所有建物の場合
3.「敷地権割合」の計算方法とは?

1.「区分所有建物」とは?

マンション・ビルのように一棟の建物が二つ以上の部屋に区切られて,その部屋が別々の所有権の対象となっている建物の各部屋のことを「区分所有建物」といいます。つまり、マンションの各部屋が,それ一個の「区分所有建物」であり,各部屋の入居者は,自己名義で所有権の登記をすることができます。

2.「敷地権」について

「敷地権」とは,区分所有建物である一棟の建物の敷地に関する権利をいい,原則として,その権利は区分所有建物と分離して処分することはできません。つまり、原則として,マンションの各部屋の所有者は,マンションの敷地の所有権等の共有持分を有しており,売買などによって部屋の所有権が移転した場合は,マンションの敷地の共有持分(=「敷地権割合」という)も一緒に移転することになります。なお,規約を定めて,部屋の所有権と敷地権を別々に処分することができます。この場合の敷地権を、「敷地利用権」といいます。。「敷地権」の登記がされているか、いないかで分かれてきます。

【参考】

■ 敷地権がある場合は,マンション全体の表題部(一棟の建物の表題部)の「敷地権の目的たる土地の表示」欄に,敷地権となっている土地の所在,地番等が記録され、敷地権となった土地の登記記録の甲区(所有権に関する事項)には、敷地権である旨の登記がされます。また、各部屋(区分所有建物)の登記記録の表題部の「敷地権の登記」欄には、敷地権の種類(所有権など 、敷地権の割合(共有持分)等が記録されます。この「敷地権」の登記があるか、ないかで扱いが異なります

3.「敷地権登記」がある区分所有建物の場合

敷地権の登記がなされている土地は、建物の専用部分と分離して処分することは出来ません。この場合、個々の所有権移転登記や抵当権設定登記は登記されませんが、建物の専用部分についてなされた所有権移転登記・抵当権設定登記等が、それぞれの土地(敷地権)に対する共有持分登記、抵当権設定登記等として効力を有します。

[「わかりやすい重要事項説明書の書き方(全国宅地建物取引業協会連合会 発行)」より]

4.「敷地権登記」がない区分所有建物の場合

不動産登記法に敷地権の制度が導入された昭和59年1月1日より前に登記された区分所有建物で、建物の共用部分の共有持分と土地の共有持分が異なる等の理由で、「敷地権登記」がなされていないケースがあります。敷地権登記のない区分所有建物は、土地と建物の一体化の公示がなされていません。つまり、マンションの一部屋(区分所有建物)の登記事項証明書を請求する場合は、土地と建物と別々で請求することになります。また。土地が賃借権の場合、敷地利用権の割合が登記されていない場合もあります。

【参考】

■敷地:以下の2つの定義された土地を合わせて「敷地」といいます。
① 区分所有建物の属する一棟の建物が存在する土地を、「法定敷地」といいます。

② 区分所有者が法定敷地と一体として管理又は使用することを規約で定めた土地を、「規約敷地」といいます。
[規約敷地の事例]通路・駐車場・庭・広場・テニスコート・集会室等付属の建物の敷地など共用施設のための土地で、法定敷地と必ずしも隣接しなくてもよい。

[「わかりやすい重要事項説明書の書き方(全国宅地建物取引業協会連合会 発行)」より]

5.「敷地権割合」の計算方法とは?

「敷地権割合」は、規約等の定めがない場合は、「各専有部分の床面積割合」により決まります。
次の計算式によって算出されます。
[計算式]各専有面積の壁芯面積 / 専有面積の総床面積

販売時の面積(パンフレット等に記載されている専有面積)割合で設定される場合と販売価格割合で設定される場合が一般的です。

まとめ

仕事で毎日扱っていることに対して、何の疑問も抱かずに扱っているケースが誰しもあるのではないでしょうか?その中でも、不動産の場合に「法律・税金・融資等」多岐にわたり、また日常生活には馴染みがない事が多いため、余計にわかりにくいと感じる方が多いかと存じます。これからも、お客様からのご質問頂いた際には、なるべくブログにアップしていきます。

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