先日、知り合いの会社社長との会話の中で、「会社にも個人にも借金があるけど資産は全くない。子供たちには、相続放棄するように言ってあるから借金が背負わせなくて済むから安心して死ねる!」と安堵した顔で話をしていました。結論から言いますと「残念ながら、相続放棄しても借金はなくなりません。」今回は、このテーマについてまとめてみました。なお、相続放棄自体の内容は、過去のブログで何回か書かせて頂いています。ご興味あればご覧下さい。

目次

1.「地位は引き継がれる!?」とは?
2.相続人の範囲と法定相続分
3.3ヶ月以内の手続きとは?

1.「地位は引き継がれる!?」とは?

会社の経営者は、会社の借金に対し連帯保証人になっているケースが殆どです。この経営者に相続が発生した場合、これらの借金や連帯保証人の地位は、相続人に法定相続分で引き継がれてしまいます。

つまり、自分の家族だけ相続放棄させても親や兄弟が存命であれば順番に借金や連帯保証人の地位が、引き継がれることを意味しています。

2.相続人の範囲と法定相続分

相続人の範囲や法定相続分は、民法で次のとおり定められています。
(1) 相続人の範囲
死亡した人の配偶者は常に相続人となり、配偶者以外の人は、次の順序で配偶者と一緒に相続人になります。
第1順位
死亡した人の子供
その子供が既に死亡しているときは、その子供の直系卑属(子供や孫など)が相続人となります。子供も孫もいるときは、死亡した人により近い世代である子供の方を優先します。
第2順位
死亡した人の直系尊属(父母や祖父母など)
父母も祖父母もいるときは、死亡した人により近い世代である父母の方を優先します。
第2順位の人は、第1順位の人がいないとき相続人になります。
第3順位
死亡した人の兄弟姉妹
その兄弟姉妹が既に死亡しているときは、その人の子供が相続人となります。
第3順位の人は、第1順位の人も第2順位の人もいないとき相続人になります。
なお、相続を放棄した人は初めから相続人でなかったものとされます。
また、内縁関係の人は、相続人に含まれません。
(2) 法定相続分
イ 配偶者と子供が相続人である場合
配偶者1/2 子供(2人以上のときは全員で)1/2
ロ 配偶者と直系尊属が相続人である場合
配偶者2/3 直系尊属(2人以上のときは全員で)1/3
ハ 配偶者と兄弟姉妹が相続人である場合
配偶者3/4 兄弟姉妹(2人以上のときは全員で)1/4
なお、子供、直系尊属、兄弟姉妹がそれぞれ2人以上いるときは、原則として均等に分けます。
また、民法に定める法定相続分は、相続人の間で遺産分割の合意ができなかったときの遺産の取り分であり、必ずこの相続分で遺産の分割をしなければならないわけではありません。

[国税庁ホームページより]

3.3ヶ月以内の手続きとは?

民法では「相続開始(死亡)から3ヶ月以内」ではなく「相続の開始があったことを知った日から3ヶ月以内」と規定されています。

「相続を放棄した人」とは、(自己のために)相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所に相続の放棄の申述をした人のことをいいます。相続の放棄の申述をしないで、事実上、相続により財産を取得しなかった人はこれに該当しません。

[国税庁ホームページより]

実際誰しも自分の懐具合は、いくら親兄弟でも話をしたくないものです。借金や連帯保証人の話であれば尚更です。生前羽振りが良かったりすると親兄弟は、「会社を経営している=資産がある。」と勝手に想像してしまうものです。まさか、被相続人の家族が相続放棄するとは思わないのではないでしょうから、「相続の開始があったことを知った日から3ヶ月」を超えて相続放棄の手続きをせずに時間が経過してしまうケースはあると思われます。

 

この場合の手続きとして弊社顧問税理士から以下のことを教えて頂きました。

税務署から届いた催促状で他の親族が、自分たちに相続権(マイナス財産含む)が発生した事実を知ったような特別な事情がある場合には、催促状が届いた日から3ヶ月以内であれば相続放棄の手続きが可能です。

[最高裁判所昭和59年4月27日判決より]

まとめ

 

相続放棄すれば、被相続人が残した借金の返済は免れることになります。しかし、それは被相続人名義の自宅や預金をすべて放棄することになります。贈与や生命保険などを活用した事前の対策が重要になります。
また、法律の問題もありますので弁護士に相談されることをお勧めします。

 

本情報は、法律・税務・金融などの一般的な説明です。個別の具体的な判断や対策などは専門家(弁護士・税理士など)にご相談ください。

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