ある貸店舗のオーナーから、「借主(法人)から、”マイナンバーの写しを提出して欲しい。”旨の通知が届いたが、どう対処したらいいか?」というものでした。毎年12月に入るとお客様から、以下の相談を受けるケースが多くなります。

1.そもそも大事な”マイナンバーの写し”を。、借主(法人)に提出しなければならないのか?
2.賃貸借契約を締結した年は、何も言ってこなかったのに、翌年は、何故”マイナンバーの写し”を提出しなければならないのか?

確かに、ごもっとな相談です。

目次

1.貸主は、なぜマイナンバーの提供をしなければならないのか?
2.契約締結した年は、マイナンバーの提供を求められなかったのに、翌年は何故提供を求められたのか?

1.貸主は、なぜマイナンバーの提供をしなければならないのか?

借主或いは買主である法人並びに個人事業主が個人の貸主、或いは売主に対して一定の金額を超える場合には、支払調書を提出しなければなりません。具体的には、以下の場合に支払調書を提出する必要があります。

不動産の使用料等の支払調書
不動産又は不動産の上に存する権利の借受の対価や不動産の上に存する権利の設定の対価を支払っており、同一人に対するその年中の支払金額の合計が15万円を超える場合に提出が必要となります。

不動産等の譲受けの対価の支払調書
不動産又は不動産の上に存する権利の対価を支払っており、同一人に対するその年中の支払金額の合計が100万円を超える場合に提出が必要となります。

不動産等の売買又は貸付の斡旋手数料の支払調書
不動産又は不動産の上に存する権利の売買又は貸付の斡旋手数料を支払っており、同一人に対するその年中の支払総額の合計が15万円を超える場合に提出が必要となります。

したがって、上記の①~③のいずれかの場合に該当する取引において、支払を行った法人や個人事業主は、支払を受けた個人からマイナンバー(個人番号)の提供を受ける必要があります。(※これに対して、法人番号は国税庁の法人番号サイトで検索及びダウンロードが可能)

[新日本法規「事例式 不動産契約作成マニュアル」より]

2.契約締結した年は、マイナンバーの提供を求められなかったのに、翌年は何故提供を求められたのか?

上記1の記述とおり、賃料の年中の支払額合計 15万円を超えなかったため提出の必要がなかったわけです。

[参考]

Q  不動産の使用料等の支払調書の提出範囲は、同一人に対するその年中の支払金額の合計が所得税法の定める一定の金額を超えるものとなっていますが、その一定の金額を超えない場合はマイナンバーの提供を求めることはできませんか。

A  不動産の賃貸借契約については、通常、契約内容で1か月当たりの賃料が定められる等、契約を締結する時点において、既にその年中に支払う額が明確となっている場合が多いと思われます。 したがって、契約を締結する時点で、契約内容によってその年中の賃料の合計が所得税法の定める一定の金額を超えないことが明らかな場合には、支払調書の提出は不要と考えられますので、契約時点でマイナンバーの提供を求めることはできません。
一方、年の途中に契約を締結したことから、その年は支払調書の提出が不要であっても、翌年は支払調書の提出が必要とされる場合には、翌年の支払調書作成・提出事務のために当該マイナンバーの提供を求めることができると解されます。(2015年9月回答)

[内閣府HP「マイナンバー(社会保障・税番号制度)>よくある質問(FAQ)より]

 

まとめ

個人の貸主或いは売主にしてみれば、マイナンバーの管理が本当に出来ているのか?心配になる方が多いのではないでしょうか?実際、内閣府HPでは、廃棄する入手したマイナンバーの廃棄に関して「個人番号関係事務を処理する必要がなくなった場合で、所管法令において定められている保存期間を経過した場合には、マイナンバーをできるだけ速やかに廃棄又は削除しなければなりません。 」となっています。直ぐにではなく「できるだけ速やかに…。」とあります。実際、毎年提出しなければならない面倒から逃れるために、法人には貸さない。管理会社を設立して一括で借り上げさせたりと知恵を絞っているようです。

昔は、”法人契約希望”と条件をつけている物件が多かったのですが…。

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