2018年10月1日に宅建業法が一部改正され、重要事項説明書での説明しなければならない項目が追加されました。2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震により、東京電力の福島第一原子力発電所で発生した原子力事故から起因すると思われますが。改正された具体的な内容は、以下のとおりです。

目次

1.改正する理由とは?
2.「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」とは?
3.指定廃棄物埋設区域内での堀削野禁止
4.指定廃棄物埋設区域の確認方法とは?

1.改正する理由とは?

「原子力利用における安全対策の強化のため核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律等の一部を改正する法律」の施行に伴い、宅地建物取引業法施行令及び宅地建物取引業の解釈・運用の考え方が一部改正されたため、重要事項説明書の「その他の法令に基づく制限」の項目に「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(30の2)」が追加されました。

2.「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」とは?

この法律は、原子力施設において重大な事故が生じた場合に放射線物質が異常な水準で原子力施設外へ放出されることその他の核原料物質や核燃料物質、原子炉による災害を防止することを目的の1つとしており、具体的には、核燃料物質又は核燃料物質で汚染された物を廃棄する事業を規制します。

核燃料物質又は核燃料物質に汚染された物について、埋設によって最終的な処分をすることを「廃棄物埋設」といい、廃棄物埋設の事業を行おうとする者は、原子力規制委員会の許可を受けなければなりません

3.指定廃棄物埋設区域内での堀削の禁止

原子力規制委員会は、廃棄物埋設の事業開始前に、当該事業に係る廃棄物埋設施設の敷地及びその周辺の区域並びに、これらの地下について一定の範囲を定めた立体的な区域を指定するものとされており、この区域を「指定廃棄物埋設区域」といいます。指定廃棄物埋設区域内においては、原子力規制委員会の許可を受けなければ、土地を堀削することは出来ません。但し、指定廃棄物埋設区域に係る廃棄物埋設施設を設置した廃棄物埋設事業者が、その事業として当該指定廃棄物埋設区域内において行う土地の堀削については除かれます。

4.指定廃棄物埋設区域の確認方法とは?

原子力規制委員会は、「指定廃棄物埋設区域を指定する場合、その旨及びその区域を官報で告示しなければならない。」とされています。したがって、指定廃棄物埋設区域については土地の所有者に確認するほか、原子力規制委員会で確認することも出来ます。

まとめ

原発事故前は安全神話があり、まさか原発に関連する内容が重要事項説明書の追加項目になるとは…。改正理由に関し、何かまどろっこさを感じるのは私だけでしょうか?

 

本情報は、法律・税務・金融などの一般的な説明です。個別の具体的な判断や対策などは専門家(弁護士・税理士など)にご相談ください。

オフィスSANOは、相続財産(金融資産 & 不動産)の問題はもちろんのこと、不動産問題について『知っていると得すること』・『知らないと損すること』に重点をおいて情報を発信してまいります。
どうしたらよいか分からない時は、不動産問題解決ナビゲータ オフィスSANOまでお気軽にご相談ください。