養子というと「跡継ぎや相続税の対策」として取り扱われるケースが多くなりました。今回は、「未成年の養子」をテーマに書いてみました。類似したテーマで「認知症の配偶者と子が相続した場合の遺産分割手続き」について過去に書いたものこともあります。ご参考になれば幸いです。

目次

1.未成年の者を養子縁組する場合
2.自分及び配偶者の子や孫(未成年)を養子縁組する場合
3.未成年の養子と親権は、実親か養親のどちらになるか?
4.未成年の養子が成年として取り扱われる時とは?
5.未成年の養子の養親が死亡した時の遺産分割協議
6.未成年の養子が遺産分割協議する時は誰が行うのか?
7.養子の離縁後の扱いは?

1.未成年の者を養子縁組する場合

①養子の年齢が15歳未満なら、法定代理人(通常は実親)の承諾が必要となります。
②15歳以上なら、単独で養子になれます。ただし、いずれの場合も、家庭裁判所の許可が原則として必要です。
意思能力を持たない15歳以上の孫を養子にしようとするような場合、法定代理人の承諾と代諾縁組のような規定が条文上存在しないので、養子になることはできない。

2.自分及び配偶者の子や孫(未成年)を養子縁組する場合

本来必要な家庭裁判所の許可は不要です。なお、未成年の孫を養子する場合、配偶者と共にしなければなりませんが、その一方が縁組の意思表示ができないときは、「夫婦のいずれか1人の意思表示で足りる。」とされています。

裁判所の許可の規定は、子の利益にならない養子縁組を禁止し、国が養子の利益になるよう積極的に監督する趣旨で設けられています。当然に自分及び配偶者の子や孫の場合は、たとえ未成年でも自分の子や孫の不利益になるような養子縁組は通常考えられず子の福祉に反する恐れもないからという理由です。
なお、「祖父母が15歳以上の未成年の孫と養子縁組する場合」も同様です。

3.未成年の養子と親権は、実親か養親のどちらになるか?

養子縁組により、親権は養親に移動します。

4.未成年の養子が成年として取り扱われる時とは?

満20歳に達した場合。②未成年の時に婚姻した場合。

5.未成年の養子の養親が死亡した時の遺産分割協議

養親が死亡しても実親に親権が回復されないので、たとえ利益相反にならなくても実親が親権者として遺産分割協議を行うことはできない
実際、孫を養子にすることが多いので、その養親が全員死亡すると親権者は不在となります。
その為、未成年である養子は、遺産分割等において「未成年後見人」の選任を家庭裁判所に申し立てなければならない

6.未成年の養子が遺産分割協議する時は誰が行うのか?

①親権者あり・利益相反あり→特別代理人
②親権者あり・利益相反なし→親権者
③親権者なし・利益相反あり→未成年後見人(未成年後見監督人が選任されている場合は、未成年後見監督人)
④親権者なし・利益相反なし→未成年後見人(未成年後見監督人が選任されている場合は、未成年後見監督人の同意を得て未成年後見人)

7.養子の離縁後の扱いは?

①養子の離縁後の氏は、原則として縁組前の氏に復活します
②養親の一方と離縁した場合は、養親が夫婦で、その一方のみと離縁した場合は、復氏しない。
③養親の氏を名乗るケースとは、縁組が7年以上継続した後に離縁した場合、離縁後3ヶ月以内に届出をして養親の氏を継続使用出来るます。

まとめ

最近、実の子を虐待して死亡させてしまったニュースが多い気がします。大変残念であり、怒りを感じます。今回のテーマの養子に関してもお互いに「こんはずでは・・・!」とトラブルも増えています。

メリットがある制度は、必ずデメリットもあります。何事も慎重な対応が求められます。

 

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