「相続対策」といっても、殆どの方は「我が家の場合、何をしたら良いのか?」悩まれているのではないでしょうか?しかも、専門家に相談すればするほど、相談した数だけ微妙に違うことを指導され、ますます迷路に入ってしまう方が多いのではないでしょうか?一般的には、次の対策が有効といわれております。

目次

1.「相続税対策重視」の場合
2.「所得税対策重視」の場合
3.「所得税・相続税の併用対策」の場合
4.「建物を無税で贈与する」の場合

1.「相続税対策重視」の場合

数年後の相続が予想される場合には、土地の評価を下げる方法が有効とされています。その場合には建物名義を父名義にします。こうすることによって土地と建物評価を下げることができます。

2.「所得税対策重視」の場合

まだまだ相続は先の話だと予想される場合には、父の毎年の所得税負担軽減する対策が有効とされています。なぜなら、毎年父に支払われる家賃収入が、父の金融資産を増えてきます。それを防ぐために子供名義か、あるいは規模が大きければ同族法人が建物を建築し、家賃等を子供か法人の収入とします。。

3.「所得税&相続税の併用対策」の場合

10年以内の相続が予想される場合は、所得税と相続税を考慮した対策が有効とされています。

(例)父名義の土地にロードサイド店舗等高収益物件の建築する場合
①土地賃借関係:通常地代※1による賃貸借+土地の無償返還届出書※2の提出します。
※1:通常の地代とは・・・。その土地の周辺の地代と同額程度の地代をいい、その土地の固定資産税(都市計画税含む)の2〜3割程度の地代が目安とされる。
※2:土地の無償返還届出書とは・・・。借地権の設定に際して、権利金の支払を受けず、かつ相当の地代の収受がない場合、借地人である法人が将来その土地を無償返還する旨を、地主と借地人双方連名で、地主の納税地の税務署
長に提出する書面のこと。
②これによって父が建物を所有しない為、父の相続で建物の評価差額は発生しません。
③その敷地は貸宅地(自用地の80%相当額)として評価され、貸家建付地(82%~85%相当額)とされない。
④父の毎年の所得税負担軽減と、その収益が金融資産として父の財産を構成するのを防ぐ為に、同族法人が建物を建築し、家賃等を法人の収入とします。
⑤家族役員に役員給与として支給することで、収入の分散を図ることができます。

これにより、父から家族役員に金融資産の贈与を行うのと同様の効果が生じ、税負担は給与所得としての課税で、殆どの場合贈与税に比してかなり低いものとなると予想されます。

4.「建物を無税で贈与する」場合

数年から10年以内程度の相続が予想される場合には、建物を父が株主である法人の名義にします。これによって、”建物を無税で贈与する。”効果があります。

まとめ

収益の高い物件を所有されている場合は、相続人の所得税の負担に配慮して、所得の低い相続人に相続させる方が所得税の負担の観点から考えると有利な場合があります。
なお、特定の相続人に所得を分散させることは、相続人毎の相続する財産価値に差異が生じてしまいます。それによって、相続人間で利害が反することになるので、争続の原因になってしまうこともあり得ます。なにごとも、一方的に行うより当事者である相続人にもわかりやすくすることが大事ではないでしょうか?残念ながら、「相続人への一方的な念い」だけでは伝わらないのが現状です

本情報は、法律・税務・金融などの一般的な説明です。個別の具体的な判断や対策などは専門家(弁護士・税理士など)にご相談ください。

オフィスSANOは、相続財産(金融資産 & 不動産)の問題はもちろんのこと、不動産問題について『知っていると得すること』・『知らないと損すること』に重点をおいて情報を発信してまいります。
どうしたらよいか分からない時は、不動産問題解決ナビゲータ オフィスSANOまでお気軽にご相談ください。