日本在住の夫婦で妻は日本国籍、夫は外国籍です。夫が死亡し、夫の財産が日本にあるときは、死亡した夫の国の法律にしたがって相続されます

目次

1.被相続人の国籍がポイント!
2.遺言者と国籍の関係は?
3.国外財産に関する納税義務の範囲の拡大とは?

1.被相続人の国籍がポイント!

日本においては、「相続は、被相続人の本国法(※本国法とは、簡単にいうと国籍のある国の法律のこと)による」と定められています。つまり、被相続人の国籍によって扱いが次のようになります。。

被相続人が日本国籍であれば、日本の法律に従って相続が行われます。
相続人の国籍は一切関係なく外国籍の相続人には日本国籍の相続人と同じ相続人としての権利や義務が発生します。
結婚後も配偶者在留資格が取れずに短期ビザの更新を繰り返している場合もありますが、「配偶者在留資格の有無・ビザの種類・婚姻の期間や同居の期間も相続権の有無については関係なく」日本の法律に従って相続が行われます。

2.遺言者と国籍の関係は?

遺言について、日本では「遺言の成立及び効力は、その成立の当時における遺言者の本国法による(法の適用に関する通則法第37条)」と定められています。そのため、日本国籍の遺言者の場合は、相続人の国籍に関わらず、日本の法律に従って遺言を作成することとなります

3.国外財産に関する納税義務の範囲の拡大とは?

相続・贈与を行う者(日本国内に住所を有する者)は、相続・遺贈を受ける者(日本国内に住所を有しない個人で日本国籍を有しない者)が取得する国外財産について子や孫等に外国籍を取得させることにより、国外財産への課税を免れるような租税回避事例が生じていることから、平成25 年度税制改正において「国外財産に関する納税義務の範囲の拡大」が講じられることとなり、日本国内に住所を有しない個人で日本国籍を有しないもの(制限納税義務者)が、日本国内に住所を有する者から相続等により取得した国外財産を相続税又は贈与税の課税対象に加えることになりました。

この改正は、平成25 年4月1日以後に相続等により取得する国外財産に係る相続税又は贈与税について適用されています。

[国税庁ホームページ 参照]

まとめ

「海外に財産を移せば、相続税が一切かからない。」とよく聞きます。 残念ながら、そう甘くはないようです。「日本国籍の被相続人(親)と相続人(子)共に5年を超えた期間、日本に住所がなければ、国内財産だけしか相続税がかからない。」という制度となっています。私のまわりも会社社長から引退し、日本に見切りをつけて海外に資産を含めて移住された方が数人いらっしゃいます。

最近の世間を騒がしているニュースをみていると、そうしたくなる気持ちがわかります。

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