税務の条文を見ていると、よく「生計を一にする」という言葉が出てきます。具体的にどういうことなのでしょうか?

目次

1.生計を一にするとは?
2.具体的な判断方法とは?

1.生計を一にするとは?

「生計を一にする」とは、必ずしも同居を要件とするものではありません。例えば、勤務、修学、療養費等の都合上別居している場合であっても、余暇には起居を共にすることを常例としている場合や、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合には、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。
なお、親族が同一の家屋に起居している場合には、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。

[国税庁ホームページ 参考]

2.具体的な判断方法とは?

「経済的」な意味と「物理的」な意味が含まれていて、下記のような要件を総合的に判断する必要があります。
①不動産登記の状況(区分所有の場合、独立性が高い)
②家賃等の支払いの有無
③生活費の負担の状況
④家屋の居住状況(玄関、台所、風呂が共有であったり、自由に往来が可能な構造であったりする場合には、独立性が低い)
⑤電気・ガス等のメーター設置状況、
⑥電話の使用状況
⑦住民票・国民健康保険上の世帯状況等

所得税法基本通達2-47

2-47 法に規定する「生計を一にする」とは、必ずしも同一の家屋に起居していることをいうものではないから、次のような場合には、それぞれ次による。

(1) 勤務、修学、療養等の都合上他の親族と日常の起居を共にしていない親族がいる場合であっても、次に掲げる場合に該当するときは、これらの親族は生計を一にするものとする。

イ 当該他の親族と日常の起居を共にしていない親族が、勤務、修学等の余暇には当該他の親族のもとで起居を共にすることを常例としている場合

ロ これらの親族間において、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合

(2) 親族が同一の家屋に起居している場合には、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、これらの親族は生計を一にするものとする

まとめ

以前にも書きましたが、マイホームの売却「居住用財産の3000万円控除」の際にも同じような事がポイントになります。具体的には、譲渡(売却)した居住用家屋や敷地が居住用財産に該当するかとどうかの判定は、住民票に記載のある住所で判断されるのではなく、売却する所有者が実際に居住していた住所によって判断されます。実際に居住していたかについては、例えば、水道光熱費等の公共料金の支払状況その他の状況からみて判断されます。(措置法通達31の3-2)

最近では、一人暮らしの親を同居のために呼び寄せ、住んでいた家を売却するする場合に要注意です。よく、住民票を移してしまい、売却することが決まったら再び売却する家の住所に住民票を移転してこの控除を受けようとする方がいます。残念ですがアウトです。

ちょっとしたことで色々なメリットある制度が使えないケースが多々あります。先を見据えた総合的な判断が必要となります。

不動産を売却するということは、必ず「売却する理由と要望」があります。まずは、その要望を達成するために「何が問題で、具体的な解決方法は?、結果どうなるのか?」という解決までのプロセスを具現(見える)化し、一緒に解決していく業者になることが必要です。

本情報は、法律・税務・金融などの一般的な説明です。個別の具体的な判断や対策などは専門家(弁護士・税理士など)にご相談ください。

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