相続税の納付は、期限内に現金で納付することになっています。しかし、納税する現金がなく、相続財産に土地の占める割合が高い場合は状況が変わります。今回は、実務で使っている計算式をお教えします。税理士に相談する前の事前準備として活用して頂ければ幸いです。

目次

1.基本的な考え方
2.実際の計算方法

1.基本的な考え方

「物納」か「不動産売却による現金納付」かの判断基準は、「物納価額」と「土地売却金額から譲渡費用及び所得税・住民税を差引いた金額」のどちらが高いかで判断出来ます。

2.実際の計算方法

相続財産に場合は、「相続税額の取得費加算の特例」を活用すれば、殆どの場合所得税・住民税はかからないので、「物納価額」と「土地売却金額から譲渡費用を差引いた金額」を比べます。

【計算式】

土地売却金額-売却する土地の譲渡費用-{(土地売却金額-物納する土地取得費-売却する土地の譲渡費用)x20.315%}-延滞税(延納利子税)=長期保有の物納申請地を売却時手取額

注1:20.315%(所得税15.315% 住民税 5%)は課税長期譲渡所得金額に対する所得税15.315% 住民税 5%の合計。ただし、復興特別所得税として所得税の2.1%相当が上乗せされています。
注2:取得費が不明の場合、又は売却金額の5%より少ない場合は、売却金額の5%とする。

まとめ

相続財産に土地の占める割合が高い場合とあえて強調したのには理由があります。それは、小規模宅地等の特例の適用を受けた相続財産を物納する場合の価額は、特例適用後の価額となってしまうからです。例えば、5,000万円の土地であっても小規模宅地等の特例を利用した結果評価額が1,000万円になってしまい、この資産を物納した場合には、5,000万円の価値があるにもかかわらず1,000万円を納めたことになってしまいます。

物納申請する場合は、申請期限迄に手続を行い、かつ、相続した土地等を売却して金銭納付する場合との有利不利等について十分な検討が必要です。

本情報は、法律・税務・金融などの一般的な説明です。個別の具体的な判断や対策などは専門家(弁護士・税理士など)にご相談ください。

オフィスSANOは、相続財産(金融資産 & 不動産)の問題はもちろんのこと、不動産問題について『知っていると得すること』・『知らないと損すること』に重点をおいて情報を発信してまいります。
どうしたらよいか分からない時は、不動産問題解決ナビゲータ オフィスSANOまでお気軽にご相談ください。